近ごろ、契約の更新が行われない賃借制度が存在するのをご存知でしょうか。
まだすべての賃貸契約のうち数%しか利用されていないのが現状ですが、定期借家契約という制度があるのです。
今回は、賃貸物件へのお住まいを検討中の方もしくはすでにお住まいの方に、定期借家契約とはどのような制度なのか解説します。
定期借家契約で賃貸物件を借りる際のメリットとは?
既存の賃貸制度である普通借家契約と定期借家契約のもっとも大きな違いは、契約の更新の有無です。
普通借家契約であれば正当な事由がない限り契約が更新されます。
一方、定期借家契約は契約期間が満了すれば契約もそこで終了になり、原則的に更新はありません。
しかし、短くても長くても自由に契約期間を決められるほか、賃料の増額や減額を特約で定めることもできます。
契約期間の満了とともに退去する必要があると考えると、借り主側にとって不利な契約に思われるかもしれませんが、実はそうでもありません。
たとえ1年未満という短期間であっても契約が可能なのは、定期借家契約でしか実現できないメリットです。
逆に、10年くらいずっと借り続ける場合でも、その間の更新料は一切必要ありません。
また、あらかじめ契約期間がわかっているので、賃料を一括前払いすることで賃料の減額に応じてもらいやすいのもメリットのひとつでしょう。
貸し主の合意さえあれば、契約期間の満了を迎えたあとに再契約することも可能なほか、場合によっては再契約を前提とした契約を結ぶこともあります。
うまく活用すれば、普通借家契約ではなかなかできなかった柔軟な対応も可能になるため、借り主と貸し主双方にとって合理的な契約とも言えるでしょう。
定期借家契約で賃貸物件を借りる際のデメリットとは?
定期借家契約では、原則として途中解約をするのは許されないというデメリットがあります。
契約期間が終わる前に解約してしまった場合は、違約金として残りの期間の賃料を請求されるかもしれません。
ただし、床面積200㎡未満の住居用の建物であれば、やむを得ない正当な事情がある場合に限り、中途解約を申し入れることもできます。
しかし、解約の申し出から実際に解約できるまで、約1か月はかかるのでご注意ください。
また、原則的に契約期間の満了とともに退去しなければならないこともデメリットのひとつと言えるでしょう。
その賃貸を気に入っていたとしても、再契約の合意がとれなければそこに住み続けることはできないのです。
契約期間が満了するまでに新居を見つけておかなくてはなりません。
このような事態を避けるためにも、契約する前に契約書の内容をよく確かめておきましょう。







